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 帯に大きくかかれた「でも、応援するんだよ!!!」の叫び。
「でも、やるんだよ!」(根本敬著『因果鉄道の旅』より)に通じる魂の叫び。


 仲良くさせていただいている村瀬秀信さんから文庫になった『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史』をいただきました。ありがとうございます。

 この本の素晴らしさ、面白さは誰もが知る所。丁寧かつ膨大な数の取材とインタビュー。でもいくら紐解いたって呆れるような事象ばかりが出てくるんですよ。なんたって12球団最多の4522敗を喫した球団の歴史なわけですから。
 夕闇迫る美しいハマスタの表紙の奥には、そんな著者の泣き笑い、日本一というひとときの栄光、また絶望、そして希望がぎゅっと詰まっています。
 “俺はとんでもない球団を愛してしまったんだな。でも、応援するんだよ!!!”という叫びをカタチにしたとんでもない名著です。
 ぜひベイスターズファン以外の方にも読んでいただきたい。ノンフィクションのような、コメディーのような、大河ドラマのような一冊です。

 そして今回の文庫化にあたって加筆されているのは中畑ベイスターズの足跡をたどる「234敗の記憶」。そしてもうひとつ「追録 村田修一が見ていた世界」。前者は僕も にわかベイスターズファンとしてしっかり見届けた234敗のお話。そして後者は僕がタイガースファンとして外から見ていた“村田修一とベイスターズ”の話。なんとご本人へのインタビューである。

 「この本のことは知っています。読みました」という言葉から始まるかつての四番打者の独白は息が詰まるような独特の緊張感をもって進んでいきます。
 元来FA移籍というのは選手と球団とファンの間にモヤモヤとした霧がたちこめて、それはいつまでたってもなかなか消えないものですが、このインタビューを読んだってやっぱりスッキリと晴れるものではない。むしろやや濃くなった感すらある(昨日のSMAPの謝罪生放送を思い出した)。
 
 これらが村田修一本人のメンタリティに由来するのか、球団とファンの個性に由来するのか、移籍先が「巨人」だったからなのか、一概には言えません。でもそれを解き明かすための手がかりは きっとこの一冊に隠されているのでしょう。
 時間をかけてもう一度読み返してみようと思います。




4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史 (双葉文庫)